奔流 -2012年9月
租税教育について
平成23年度税制改正大綱に租税教育が取り上げられ、税理士が行う租税教育に大きな期待が寄せられている。日税連では租税教育推進部を新設し、租税教育を専門に担当することになった。関東信越税理士会(以下、本会)でも、租税教育推進部(今年度は広報部員が兼任)を新設し、積極的な取り組みを開始した。
本会では、これまで小中学校を中心に租税教育推進協議会(以下、租推協)と連携し、租税教室の開催数では全国トップを走ってきた。本会広報部では、他会のような講師希望者研修や講師認定などを行うことなく、各支部の担当者の熱意だけを頼りにしてきた。今年度は、租税教育に対する意識を共有し、小中学校から高校大学社会人へという租税教育の流れを作るための新たな試みを始めたい。
日税連の池田会長は、「税務支援と租税教育を税理士会の両輪として取り組んでいく」と明言している。「税務支援は税理士法上の税理士の義務だということはわかるが、租税教育はどこにもない」という意見も耳にする。しかし、税理士法1条の税理士の使命に基づくものだと私は理解している。適正な納税義務を実現するためには、国民が税について考え、社会の一員であるという自覚を持たなければならない。納税の義務だけを押し付けるのではなく、政治や経済に興味を持ち、日本の国の未来を自分で考えて、積極的に社会に参加していこうという気持ちを育てることが、租税教育ではないだろうか。
現在、高校大学で講師を希望する会員のための研修を予定している(10月11日)。授業のノウハウも大事だが、租税教育についての意識を共有できるものにしたい。また、各地域の租推協と連携し、税理士会の取り組みについて理解と協力を求めていきたい。「母校で租税教育をしよう」という他会の真似もよいかもしれない。今後も、会員の理解と協力をお願いしたい。